WEEK END

ゲーム・映画・本・アニメについて感じた事・思った事などを綴るブログです。

二本松兄妹と木造渓谷の冒険【感想】


 7月開始予定の注目のアニメ「プラネット・ウィズ」のCMが公開され、放送日や放送局が決定しました。
原作を担当する水上悟志先生の漫画がとても好きな私は、CMの映像で「おー、水上先生の絵が動いてる!」と興奮しっぱなしでした。
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 なのですが。

 「いやー、楽しみだ、楽しみだ。
 ……あれ? 水上先生と言えば、なにかを忘れてる様な……?」

 そしてそこで気づいたのです、そういえば水上先生の本を一冊、積んだままで読んでいなかった事に…!

 という訳で、水上悟志先生の漫画「二本松兄妹と木造渓谷の冒険」を読みました。一冊完結の勢いのあるコメディでバトルなファンタジーです。

二本松兄妹と木造渓谷の冒険 STORY

 二本松兄妹は半火精&半氷精の拝み屋コンビ。兄・朱彦は根暗な守銭奴、妹の雪緒は元気一杯な熱血娘だが、妹に預けた火を取り戻せば朱彦は氷剣二刀流を操る剣士になれる。ある晩、退魔師・零堂一族の跡取りで、県内最強剣士の零堂天吉の元から逃げてきた座敷童ねりねを助けた二人。
 ねりねの護衛とその故郷・木造渓谷へ至る門探しを依頼され、叔父から多額の借金をしている兄妹は快諾するが、座敷童奪還を狙う零堂一味と対立する事に…! 水上悟志のノンストップジャポネクスファンタジーバトル、全一巻にてお届け!

過去作を感じる

 今回の作品は妖怪などが出てくる日本寄りのファンタジーとなっています。同じような世界観の水上先生の作品と言えば「散人左道」や「戦国妖狐」、あとは短編集に収録されている色々な作品等があります。
 主人公の二本松兄妹は普段、それぞれが持っている力のバランスを取る為に(力が暴走しないように)火の力を持つ兄の力を氷の力を持つ妹に預けています。その為「力」を本気で使用する際はキスをして、力を元に戻し戦闘を行います。
 これは「戦国妖狐」の第一部の主人公“迅火”が奥義“精霊転化”を行う際に義理の姉である“たま”の血を飲むのに似ていますね。多分「戦国妖狐」を読んだ事がある人はみんなそう思ったかもしれません。「戦国妖狐」ちょい長めですが面白いのでオススメですよ。

ギュッと詰まった物語

 読むまで勘違いしていたのですが、この物語の舞台は現代。あらすじを見て「なんだか江戸時代とかそういった時代背景なのかな……」なんて思っていました。
 とはいえ現代の街などを舞台にするのは序盤、中盤だけで、終盤へと物語が進むにつれて舞台は街から異界・木造渓谷へと移っていきます。
 個人的にはこの座敷童たちが住むという木造渓谷という設定がとても好き。さらにそんな場所で行われる怒涛の最終決戦は内容が濃縮されて、かつ詰め込みすぎにならない程度にごちゃごちゃしていて絶妙のバランスですね。
 そろりそろりと始まり、気がつけば全力疾走で最後まで走り抜けている、とでも言いましょうか。。。
 しかもオチも含めて綺麗に着地。勢いだけじゃない。
 疾走感を感じながら、全一巻でパッと読めるのも魅力かなぁと思います。
 なにやらカバー裏ではシリーズ化するかも、なんて話も出ていますし、今回は話にしか出てこなかった二本松兄妹の父親の話なんかも、読んでみたい所ではあります。

まとめ

 トータルして楽しめた作品でした。キャラクターも、お話も、展開も好きです。
 構想は2週間から一か月だそうで、それでここまでちゃんとまとまっているの自分はすごいと思うのですがどうでしょうか。

 とはいえ例えばこの作品が一番最初に読んだ水上悟志作品だという人がいたとして、他の水上作品を読みたいと思うだろうか、と言えば正直微妙だと思いますね。
 なので、少しでも水上作品に興味をもった方がいたら比較的新しい短編集「放浪世界」を推したいと思います。
 色んな切り口の作品が楽しめて良いです。(ファンを増やしたい厄介なオタク)

 ふふふ。それで興味が出れば「スピリットサークル」や「惑星のさみだれ」を読んで沼に浸かってほしい次第です。

(しかしいつもこの作家さんの漫画の表紙は面白くなさそうに見えるのは何なのだ……実際は面白いのに……)